2007年03月05日 (月) | 編集 |
(イオンクレジット有料会員誌『MOM』 2005.8月号掲載記事)
家族であれば当然のこと
子どもが小学生くらいになると、「お手伝い」をしてくれる機会が増えてきます。そこで気になるのが、それに対する「お小遣い」です。 わが家では、食器洗いなどのお手伝いにご褒美(報酬) はありません。その代わり、普段はお金を支払っていること―― 例えば、ガソリンスタンドでお願いする洗車や車内掃除を子どもがやってくれたときは、感謝の気持ちも含めて、その代価を渡すことにしています。これは、何かをしてもらうこと=サービスにはお金がかかることを知ると同時に、自分がサービスを受けるときに必要なお金を得る「労働」を自ら体験し、社会の仕組みの一端を知ることができるからです。
こうした体験を通じ、子どもは、洗濯・掃除・料理などの家事労働が、どのような価値を持っているのか理解しやすくなります。すると、一緒に生活している家族の一員として、皆が家事を分担する理由もわかってきます。日常のお手伝いに報酬が出ないという理由も、理解できるはずなのです。
報酬制が成功したケースも
報酬制の一番大きな問題点は、「お手伝いをしたくないからお金はいらない」という考え方になりがちだということ。これは、「100点を取ったら○○を買ってあげるね」という場合にも同じことが言えます。「買って欲しいけど、勉強したくないからいらない」と言うこともできるわけですね。
欲しいもの(Wants)と必要なもの(Needs) の両方を、子どもが自分で考えてやりくりするお小遣いは、「家計の一部を子どもに管理させているお金」とも言えます。家族の一員として家計の一部を預かり、助け合って生活するのは自然なことですよね。それに、これから社会の一員として自律し自立する準備をするのは、子どもにとって大切な勉強です。そう考えると、「するべきこと」に対して条件をつけ、報酬を与えることには、少し疑問も残ります。
しかし、ある方から、報酬制の成功例もお聞きしました。それは、「すべてのお手伝いに金額を定めて、お小遣いそのものを労働報酬制にしている」というものです。つまり、定額を最初から与えるのではなく、お手伝いで働いた金額をお小遣いとして渡す方法です。そのお金で、子どもは欲しいもの(Wants)と、文具や衣類など必要なもの(Needs) の両方をやりくりします。もちろん、追加の援助はしません。この場合、子どもは必要額のお小遣いを手に入れるために、大変な努力(労働)をすることになります。働いて賃金を得ることの大変さや、お金の価値をしっかりと考えられるというわけです。子どもには少し厳しいようですが、生活力や自律力を鍛えるのには有効な方法だとも思いました。
そして、さらに上級者がいます。韓国の実話をもとにした『12歳で100万円ためました!』(インフオバーン刊)。これは、「定額のお小遣い+お手伝いの報酬」という、今までご説明してきた2つの方法を同時に実践した童話です。これから始まる夏休み。少し時間が空いたときなどにお子さんと一緒に読んでみるのも、お小遣いについて考えるいい機会になるかもしれませんね。
最初に、「わが家ではお手伝いにご褒美はなし」と書きましたが、だからと言って、ご褒美(報酬) を与えることが悪いというわけではありません。大切なのは、少額であってもお金を与える以上は、お小遣いとの関連をしっかりと考えるようにすることです。
「家事」という仕事の価値を伝えよう
最近やっと、男女共同参画が叫ばれるようになってきました。しかし本来は、「男」「女」という区別ではなく、互いの違いを認め合い、手を取り合って協力をすることが大切なのです。その理解を進めるための基本が、「家事」を知ることではないでしょうか。「家事」とは、生活をするうえで避けては通れないものですからね。
男女間の不平等や有職主婦の過労、さらには有職主婦と専業主婦の対立など、その根本的な原因は、「家事」の価値や重要性が世の中で正しく理解されていないから、とも言えます。社会という組織の中で、現金収入を得ることは並大抵ではありません。しかし、現金収入を得られる仕事だけが労働ではないのです。お金という対価に換わらなくても、誰かがやらなければならない労働が、世の中にはたくさんありますよね。これらを総称して「アンペイドワーク(無賃労働)」と言いますが、家事労働もその一つです。しかし、賃金が発生しない仕事は、往々にして軽んじられる傾向にあり、残念なことに家事労働は、その代表的な例なのです。
お手伝いは社会への第一歩
簡単そうに見える仕事、楽に見える仕事も、実際にやってみなければその大変さはわからないものです。私の夫は、今でこそ家事の手伝いをしてくれるようになりましたが(分担じゃないところが、ちょっと残念)、これまでには何度も大喧嘩をしました。口では、「家の中の切り盛りをありがとう」と言ってくれていましたが、その半面、アイロンがけや料理、洗濯など、簡単な作業をすぐにやらない私に、「なまけている」と言いたそうでした。確かに、私はズボラな性格で、掃除が嫌いな片付け下手です。パート勤めに出ていたころの家の中は、本当に悲惨なものでした。夫はそれを見るに見かねて、洗濯や掃除を手伝ってくれるようになったのです。そして、実際に家事に関わるようになって初めて、一つひとつの作業って、こんなに時間が必要なんだね」と理解してくれるようになりました。同じように子どもたちにも皿洗いを頼んだところ、以来、油物を食べた食器は重ならないようにしたり、食後は進んで食器を下げるようになったりしました。このように「お手伝い」は、生活力をつける実践学習であると同時に、アンペイドワークに対する正しい理解を深めるために必要不可欠な必修学習でもあるのです。
家庭は小さな社会。つまり、社会の縮図とも考えられます。社会のルールと仕組みを知った子どもは、なぜ勉強するの? なぜ働くの? という疑問の答えが、100点を取ることや、たくさんのお金を得ることだけではないと、徐々に理解できるようになります。また、お手伝いを通して、アンペイドワークに対する理解を幼少時から深めることは、これからの真の平等社会を歩んでいくうえで大変重要なことです。報酬制にする場合でも、前述のように、ある一定のルールをきちんと設定すれば大きな問題は起こりません。「○○を買ってあげるから、これをやって」という、馬の鼻先ににんじんを吊すような方法では、子どものやる気は生まず、長続きもしないでしょう。それでは、あまり意味がありませんよね。
家族であれば当然のこと
子どもが小学生くらいになると、「お手伝い」をしてくれる機会が増えてきます。そこで気になるのが、それに対する「お小遣い」です。 わが家では、食器洗いなどのお手伝いにご褒美(報酬) はありません。その代わり、普段はお金を支払っていること―― 例えば、ガソリンスタンドでお願いする洗車や車内掃除を子どもがやってくれたときは、感謝の気持ちも含めて、その代価を渡すことにしています。これは、何かをしてもらうこと=サービスにはお金がかかることを知ると同時に、自分がサービスを受けるときに必要なお金を得る「労働」を自ら体験し、社会の仕組みの一端を知ることができるからです。
こうした体験を通じ、子どもは、洗濯・掃除・料理などの家事労働が、どのような価値を持っているのか理解しやすくなります。すると、一緒に生活している家族の一員として、皆が家事を分担する理由もわかってきます。日常のお手伝いに報酬が出ないという理由も、理解できるはずなのです。
報酬制が成功したケースも
報酬制の一番大きな問題点は、「お手伝いをしたくないからお金はいらない」という考え方になりがちだということ。これは、「100点を取ったら○○を買ってあげるね」という場合にも同じことが言えます。「買って欲しいけど、勉強したくないからいらない」と言うこともできるわけですね。
欲しいもの(Wants)と必要なもの(Needs) の両方を、子どもが自分で考えてやりくりするお小遣いは、「家計の一部を子どもに管理させているお金」とも言えます。家族の一員として家計の一部を預かり、助け合って生活するのは自然なことですよね。それに、これから社会の一員として自律し自立する準備をするのは、子どもにとって大切な勉強です。そう考えると、「するべきこと」に対して条件をつけ、報酬を与えることには、少し疑問も残ります。
しかし、ある方から、報酬制の成功例もお聞きしました。それは、「すべてのお手伝いに金額を定めて、お小遣いそのものを労働報酬制にしている」というものです。つまり、定額を最初から与えるのではなく、お手伝いで働いた金額をお小遣いとして渡す方法です。そのお金で、子どもは欲しいもの(Wants)と、文具や衣類など必要なもの(Needs) の両方をやりくりします。もちろん、追加の援助はしません。この場合、子どもは必要額のお小遣いを手に入れるために、大変な努力(労働)をすることになります。働いて賃金を得ることの大変さや、お金の価値をしっかりと考えられるというわけです。子どもには少し厳しいようですが、生活力や自律力を鍛えるのには有効な方法だとも思いました。
そして、さらに上級者がいます。韓国の実話をもとにした『12歳で100万円ためました!』(インフオバーン刊)。これは、「定額のお小遣い+お手伝いの報酬」という、今までご説明してきた2つの方法を同時に実践した童話です。これから始まる夏休み。少し時間が空いたときなどにお子さんと一緒に読んでみるのも、お小遣いについて考えるいい機会になるかもしれませんね。
最初に、「わが家ではお手伝いにご褒美はなし」と書きましたが、だからと言って、ご褒美(報酬) を与えることが悪いというわけではありません。大切なのは、少額であってもお金を与える以上は、お小遣いとの関連をしっかりと考えるようにすることです。
「家事」という仕事の価値を伝えよう
最近やっと、男女共同参画が叫ばれるようになってきました。しかし本来は、「男」「女」という区別ではなく、互いの違いを認め合い、手を取り合って協力をすることが大切なのです。その理解を進めるための基本が、「家事」を知ることではないでしょうか。「家事」とは、生活をするうえで避けては通れないものですからね。
男女間の不平等や有職主婦の過労、さらには有職主婦と専業主婦の対立など、その根本的な原因は、「家事」の価値や重要性が世の中で正しく理解されていないから、とも言えます。社会という組織の中で、現金収入を得ることは並大抵ではありません。しかし、現金収入を得られる仕事だけが労働ではないのです。お金という対価に換わらなくても、誰かがやらなければならない労働が、世の中にはたくさんありますよね。これらを総称して「アンペイドワーク(無賃労働)」と言いますが、家事労働もその一つです。しかし、賃金が発生しない仕事は、往々にして軽んじられる傾向にあり、残念なことに家事労働は、その代表的な例なのです。
お手伝いは社会への第一歩
簡単そうに見える仕事、楽に見える仕事も、実際にやってみなければその大変さはわからないものです。私の夫は、今でこそ家事の手伝いをしてくれるようになりましたが(分担じゃないところが、ちょっと残念)、これまでには何度も大喧嘩をしました。口では、「家の中の切り盛りをありがとう」と言ってくれていましたが、その半面、アイロンがけや料理、洗濯など、簡単な作業をすぐにやらない私に、「なまけている」と言いたそうでした。確かに、私はズボラな性格で、掃除が嫌いな片付け下手です。パート勤めに出ていたころの家の中は、本当に悲惨なものでした。夫はそれを見るに見かねて、洗濯や掃除を手伝ってくれるようになったのです。そして、実際に家事に関わるようになって初めて、一つひとつの作業って、こんなに時間が必要なんだね」と理解してくれるようになりました。同じように子どもたちにも皿洗いを頼んだところ、以来、油物を食べた食器は重ならないようにしたり、食後は進んで食器を下げるようになったりしました。このように「お手伝い」は、生活力をつける実践学習であると同時に、アンペイドワークに対する正しい理解を深めるために必要不可欠な必修学習でもあるのです。
家庭は小さな社会。つまり、社会の縮図とも考えられます。社会のルールと仕組みを知った子どもは、なぜ勉強するの? なぜ働くの? という疑問の答えが、100点を取ることや、たくさんのお金を得ることだけではないと、徐々に理解できるようになります。また、お手伝いを通して、アンペイドワークに対する理解を幼少時から深めることは、これからの真の平等社会を歩んでいくうえで大変重要なことです。報酬制にする場合でも、前述のように、ある一定のルールをきちんと設定すれば大きな問題は起こりません。「○○を買ってあげるから、これをやって」という、馬の鼻先ににんじんを吊すような方法では、子どものやる気は生まず、長続きもしないでしょう。それでは、あまり意味がありませんよね。
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